穂村弘さんの『君がいない 夜のごはん』を再読しました。
読み直しなのは自覚していたけど感想もちゃんと書いているとは思わなかった。といっても、内容の大部分は忘れているので楽しめるのですが。
エッセイを読むテンションというのはどうにも難しい。この本は短いエッセイがたくさん詰まった本なので一日数ページをコツコツ読んでも面白いと思います。なんだか、毎回のエッセイが全力疾走なので逆に少しずつ読まないと疲れるのかもしれない(私は疲れた)。
穂村さんの「わからなさ具合」にほっとする自分がいる。
わからないことをわからないまま言語化する作業って私は難しいと思っていて。それは私にとって何かを書くという行為はそれを理解したいという思いが源流にあって、書いているとそれをわかろうとする気持ちが働いてしまう。
けれど穂村さんは「わからない」をわからないまま綺麗に取り出す。それが歌人のできることなのかもしれないし穂村さんの技術でもあるのだと思うけど…。これを読みながら頭に浮かぶイメージは化石の発掘作業。損なわれず取り出された「わからない」を私は読み、驚いたり共感する。それが楽しい。
この本は目次もよくて、なんだかコース料理のメニューみたいです。前菜から始まってデザートで終わるような。そういう構成ではないけれど(強いていれば全部メインディッシュみたいな力強さがある)食べ物をめぐるエッセイでこの目次は嬉しいなぁ。そんなことを考えていたら
もう1つ装丁の話をすると、目次の並びとフォントがとても好きです。小さく横並びで書かれた目次。ああ、ぱっと見開いて一覧で見ることができるのか…いいなぁ。本文の内容はともかく「目次」を見ただけで手元に置きたいと思ってしまうなんて。こういうところがハードカバーの魅力だと思います。
と過去の自分が言っていたので、考えることおんなじだなーと笑っています。