8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

エーリッヒ・フロム『生きるということ 新装版』感想

 エーリッヒ・フロム『生きるということ 新装版』を読みました。

生きるということ 新装版

 

 『愛するということ』とセットで本屋に平積みになっていた気がします。。そして『愛するということ』の方が平積みの山は低め(つまり捌けている?)印象。あくまで私の印象です。いずれは『愛するということ』も読みたいのだけれど、まずはこちらを読みました。おそらくだけれど、この本で主題となっている「持つこと」と「あること」の内容から「愛すること」は派生していると思います。

 To HaveからTo Beへ、と帯に書かれているように、これからの時代は「持つこと」ではなく「あること」へ舵を切っていきましょう、という話だと思いました。その為に「持つこと」とは何か、「あること」とは何か、そして新しい社会の為の具体的な策の提言までなされています。面白かった。

 直感的に「わ、わかる~~~」と頷きっぱなしでした。持つ様式は財産を私有することに端を発していて、ある様式はもっと能動的で与えることであり、分かち合うものであり、犠牲を払うものであるという理解。ある様式の例として芭蕉の俳句が出てきたのは面白かった。俳句についても勉強しようとメモメモ。

 人々が持つ様式からある様式にシフトするためには、社会を変えねばならないということで、終盤はどのように変えていくか、持つ様式を採用しているこの現代社会の問題はどこにあるのか、ということが記されています。

 実践できそうだなと思ったのが、戦闘的な消費運動を展開する、というくだり。健康な消費をしていきましょうという話です。例えば差別的な見解を発表している某化粧品・サプリ販売メーカーの不買運動だったり、あとは最近だとウイグル情勢に関するアパレルメーカーの動きに反応する購買者たちなど。買うことは投票することと同義だと思って、少しずつ考えながら買い方も変えていかねば、と思うところです。

 そしてやっぱりだけれど、社会を変えていくためには産業的政治的参加民主主義が不可欠ということで、この民主主義が成り立つために必要なことって何だろうと考えています。メディアによる権力の監視とか、情報リテラシーとか、まあ色々。ここがそもそもな~~~と思っているので、自分なりに関心を持っていきたいなと思います。

(以前ならこういう学術的な本は読んだとしても感想は書かなかったし、そもそも読み切れないことも多かったのだけれど、今後は読めてなくても理解できなくても読み通して自分の頭で考える癖をつけたい)