8月2日の書庫

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人の海/星野源『蘇る変態』感想

星野源さんの『蘇える変態』を読みました。

蘇える変態

俳優でもありミュージシャンでもある、幅広い活動をしている星野源さんの連載エッセイ。読みました。

星野さんの曲は好きな曲も多く、その好きな曲の製作秘話?みたいなものも書かれていました。生みの苦しみ。

 

印象的だったのは、星野さんの文体。作る曲の歌詞もご自分で作られている人だから、言葉をたくさん内に持っている人なのだろうとは思っていたけれど、エッセイの文章が結構かため。書かれている内容は下ネタとかだけれど、なんでしょう、すごく丁寧な文章だなと思いました。わかりやすいですし。

例えば、これが作家さんだったら驚かないのでしょうけれど、ものを専門に書く人ではない人がこうしてたくさんの言葉を使って文章を書いていると、私は驚きます。この人の中にはこれほど広大な言葉の海が広がっているのか、と。星野さんはものを書く人ではあると思いますが、俳優としての星野さんも多く目にしているのでそこから感じる印象とは異なる世界がエッセイの中で広がっていました。

難しいな。人間には浅かれ深かれ広かれ狭かれ、「海」があるのだなと思うのです。きっと誰しもが思考しているけれど、どんな風に考えがめぐっているのかは私は超能力を持たないから知ることができない。怖くもあり、相手の思考を読み取るテレパシー能力が無くて良かったと安心します。

 

人の海を垣間見る瞬間がどこかにある。エッセイもその一つ。そんなことを考えていました。

 

星野源さんの『蘇える変態』を読みました。