恩田陸さんの『夏の名残の薔薇』を読みました。
ログによれば5年ぐらい前に読んでいたはずなのですが、案の定内容を忘れている始末。しかし読みながらも「このやりとりどこかで。。。」と思うのだから多少は覚えているようです。
人の認識というのはさほど信じられるものではない、というのは頭では理解しているのだけれど骨身に刻まれているかというとそんなことはない。「あれ?」と思いながら各章を読み進め第六変奏で帰結する感じ、結末はなかなか人によって解釈が異なりそうなのも面白いなと思いました。人の数だけ結末があり世界が作られる、というスタンスは私は納得がいきます。同じものを見ていて捉え方は人によって異なるからです。そして作中でも述べられている通り、人は自分が望んだ世界をえてして現実のものにしてしまいがちです。小説だからこそ表現できるものだよなぁ…これは、と読了後の余韻に浸っています。