アガサ・クリスティー『青列車の秘密』を読みました。
いや～面白かったです。クリスティー作品は少しずつ読んでいるけれど、その中でもかなり好きな部類に入る作品ではないでしょうか。個人差はありますし、この作品が「THE クリスティー作品」と呼ばれているかどうかはわかりませんが…どうしても『そして誰も～』とか『オリエント急行～』とか『ABC～』とかがメジャーな印象…。
好きなところは、ルス・ケッタリング、キャザリンという異なるタイプの女性の内面に迫っているところ、そしてミレールとレノックスが入り込んできて、様々な女性の心情の移ろいを楽しむところができる点です。女性の内面にぐっと迫るのはクリスティー作品の一つの特徴と考えていいと思います。こういう表現が妥当か留保が必要ですけど、クリスティーは男性に容赦がない、気がする。
個人的には、デリクの恋人であるミレールが終盤に進むにつれ余裕がなくなってきて感情を露わにしていくのが好きです。ミレール、結構憎めない。
原題は"The Mystery of the Blue Train"で、"Mystery"を「謎」とか「不思議」と訳さないのも趣深い。作中の登場人物たちは様々な「秘密」を隠しておりますからね。いいタイトルだなと思いました。
