8月2日の書庫

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ラース・スヴェンセン『働くことの哲学』感想

 ラース・スヴェンセン『働くことの哲学』を読みました。

働くことの哲学

 この本が教えてくれたこととして、心に刻もうと思ったことが1つある。それは、「仕事とは何か」という問いに対する答えは有史以降常に変化を遂げてきたし、これからも変容していくだろうということだ。このことからわかることは、もし仮に仕事について悩んでいるとして、その「仕事」というのは絶対的なものではないし、仕事に関する悩みも必然的に絶対的なものではないということだ。

 

 ということで、この本の感想は以上になるが、この「働くこと」については今後も考えていきたいトピックなので、私の中で引っかかっていることを整理しておく。

 

 学生時代からアルバイトをするようになり今まで、疑問に思っていることがあった。それは、己の労働に対する賃金をどのように評価すればいいか、まったくわからないということだ。理想主義的だという自覚はある。

 お金がなければ生きていけないので私は働くわけだが、賃金と同額のお金を毎月口座に振り込まれても、私はたぶん働くだろう(とはいえ、生産性は劣るかもしれないが)。いつも思う。口座に振り込まれた金額を見るたびに「これが私の労働の対価でなければいいのに」と。つまり私は「賃金」というものがよくわかっていないということになる。

 能力に応じて、成果に応じて給料が増えるというのもよくわからない。例えば同じような仕事をしていて、AさんとBさんで生産性に違いがある、だから給料にもそれを反映する、というのはわかる。けれど、AさんやBさんの仕事とは別の仕事をしているCさんの給料と、AさんBさんの給料が異なるとして、その根拠づけがよくわからない。多分、明確で納得できる理由付けはないはず。危険な仕事や高度な技術が求められる仕事なら給料はそれ相応に高くなる、というのはわかる。が、この世の中、危険でも高度な技術が求められなくても必要な仕事はあるはずだ。

 そんな私がいちばん納得するのは、多分自給自足の生活なのだろう。現実的ではないのが悲しいけれど。

 

 あと、仕事は自己実現というのがあったとして、それは誰かが編み出した体のいいゲーム設定だと思う。元々目標を決めるのが苦手なのだが、仕事における目標を考えるのがしんどい。私は私で問題意識を持ち、自分の課題を設定し、それをクリアしていくのが楽しいというのに、上司にああだこうだ言われるのはうんざりするところがある。それは、あなたが(会社が)私にさせたいことでしょう? と思う。

 

 働くこと、私は楽しいと思っている。好きなことではないがやることがないよりましだと思う。

 

 何はともあれ、自分にとって仕事とは何であるかを見つめ、考えるべきだ。『働くことの哲学』の最後に一文はこんな風に締められ、私も同意するものである。さて、これから色々本を読まなければ。