8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

千葉雅也『現代思想入門』

 千葉雅也『現代思想入門』を読みました。

現代思想入門 (講談社現代新書)

 

 前々から思っていたことがある。いわゆる「学術書」と呼ばれる本はどうしてこう難しいのだろうかと。読んでて全然わくわくしない。でも「わくわくしない」だなんて、結局私がその本に書かれていることをこれっぽっちも理解できない頭の持ち主だからなのね、と(それはそれで腹が立つが)思っていた。私だったら同じことを書くのでももっと面白く書きたいけどなあ(書けるかは別。お得意の妄想。言うだけなら無料)と思って、学術書は苦手だった。

 が、この『現代思想入門』はとても楽しく読めた。「入門」と名の付く本の中でも、かなりフランクに、読者の目線に立っている本だと思う。筆者もそのあたりは意識されていると思われる。その眼差しは私にとっては好印象。

 ただ、悲しいことに、最近自覚するようになったけれど(自覚するのが遅い)私は読んだ本の内容をすぐに忘れる。すぐにだ。ということで、この本の感想を書こうと思い立ち、いわゆる学術書はお堅くて読めないけど(とはいえ読むこともある)この本は読めた! という切り口で書き出せるぞ! と思ったところで、肝心の本の中身がさっぱり出てこない。悲しい。忘れたならもう一度読み直せばいいのだが、こう、空で本の内容を引っ張り出せないのは、つまり何もわかっていないことなのではないか? と、どうも悲しくなるのだ。

 細かいところはさておき、この本で取り上げられているデリダとかフーコーとか、あと誰だっけ、ああそうだ、ドゥルーズの思想にしっくり来た感覚は残っている。そもそも構造主義に関して「なるほどな、そうだよな」と思うこと多しだから、そこを軸とした考え方に違和を覚えないのも宜なるかな。特に「エクリチュール」は現代においてもどんどん深堀したい考え方なので、ちゃんとデリダ入門は読もうと思った。

 入門というのはハブ空港みたいなものだと思っていて、次の空港に行きたいなと読者に思わせることができれば本として大成功だと思っている。だからこの『現代思想入門』はその役割をきちんと発揮しているのだろう。