8月2日の書庫

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ジェーン・スー『私がオバさんになったよ』感想

 ジェーン・スー『私がオバさんになったよ』を読みました。

私がオバさんになったよ (幻冬舎文庫) 

 

 「私は決して最初の人類ではないのだから大丈夫だ」みたいな感覚がある。どれだけの人間が生まれ、どれだけの人間が死んだか。それらすべてに物語があり経験があり思索があった。であれば、私たちはそれらを糧に乗り越えていけるはず、と。

 あとは、あとがきが面白かった。文庫版あとがきなので、対談収録時から少し時間が経過しているようだ。対談当時と文庫版あとがき当時でジェーンさんの環境も変わったようで書かれたものは置いてかれるという感覚を読みながら改めて感じた。何事も「その当時は」という留保が必要であることは当たり前なのだけど、本を読むときは本の内容がそこにあることでもあるので、そのタイムラグは気を付けないとなあと思ったりする。特にここ数年の著作は時代性の大きなずれがないので留保への意識が薄れるのかも。