8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

鷲田清一、内田樹『大人のいない国』感想

 鷲田清一内田樹『大人のいない国』を読みました。

大人のいない国

 

 面白かった。「大人」という観点で、現代日本社会について考えてみたり、という本。この本で書かれていることは大体において「そうだよな」と首肯するところではあるが、細かい所を検証すれば「揚げ足取れるポイント」はたくさんあるだろう。重箱の隅をつつく場合は、生産性というか発展性がある場合に限る。人を論破するためだけの言葉に私は価値を持てない。

 大人とは何か、考える。様々な定義があるだろうけれど、その中で一つ私が考えているのが、大人とは「次の世代へのプレゼントを考え実践できる人」である。この場合のプレゼントは次世代にとって良いものなのか悪いものなのかはわからない。要は、自分がプレゼントを贈る能力を有していて、かつ、実際に相手に対するプレゼントの中身を検分することができて、贈ることができる人、が大人なのだと思っている。

 私は私以外の何者でもないので、できることとすれば「私が大人になる」ことだけで、私は大人でいられているのだろうか、いいや、まだまだだなあ、と身が引き締まる思いである。

 昔の私は漠然と、大人になったらつまらないと思っていた。でも、できることがたくさんありそうだから早く大人になりたいと思っていた。実際、あの頃の私より何年も何年も時が経過して思うのは、全然今の方が楽しいよということで、その面白さみたいなものを日々撒き散らしながら生きたら迷惑だろうか、迷惑だろうな、でも、あの人楽しそうだなと思ってもらえる振舞いができたらいいなと思う。