村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』を読みました。
身も蓋もない感想をひとついいか。なげえ。長い、長いぞこの『ねじまき鳥クロニクル』ってやつは。でも、終始「本を読んでいる」という感じ。そういう意味で、体験的だと感じました。ディテールが面白いのでもう加納マルタと加納クレタ、ナツメグとシナモン、という名前だけでごちそうさまです、と思いました。
ふたつ気になったこと。ひとつめ、回収しきらない伏線が気に入ったこと。ふたつめ、主人公(もう名前を忘れている)の語りが淡白でありどことなく他人事であること。前者については「え、それってどうなの?」と思うことが散見されてもぶっちゃけそれって気にならないし、伏線を全部全部綺麗に掬い取る方が気持ち悪さを感じるので(あえて言葉は選ばず言っていますが)これぐらいばらまかれていた方が安心する。後者については、だいぶねちねち言ってるけど、あんまりねっとりしない主人公の自意識、その理由って何だろうか気になるなあ、ということです。多分文体による?
夢中になって読んだ。そして読み終わった後は疲れた。そういう小説です(悪くない疲れである)。