8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

稲垣えみ子『寂しい生活』感想

 稲垣えみ子『寂しい生活』を読みました。

寂しい生活 魂の退社

 

 電気は欲望を解放させるもの、というようなフレーズが印象的だった。私の考えでは、人間の欲望を今までは不自由さが抑えていたけれど、その歯止めが技術の進歩で一つ一つとクリアになっているという印象。じゃあ、不自由な中で欲望はどのようにあったかというとそれはまたわからないが…。SFを読んでいると、末期の荒廃した地球ではインフラは崩壊、人々は自力で生きていくしかないというシチュエーションになるわけだが、私の生きている間に地球はそういうことになるのだろうかということは結構考える。ありうるだろうなと思う。そういう世界の欲望はもっと動物的なものが前面に強化されるのかな、など。地球というものに対して、人は消費するエネルギーは膨大な癖に、残すものはわずかしかなく(肉と骨が腐って生物の栄養になるぐらい)罪深い生き物だなあと思ってしまうのだった。大量生産、大量消費社会をどうにかしてほしい。労働とは何か、賃金とは何か、生きるとは何か、そこに電気とは何か、という問いが追加される。