8月2日の書庫

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町屋良平『愛が嫌い』感想

 町屋良平さんの『愛が嫌い』を読みました。

愛が嫌い

 『しずけさ』『愛が嫌い』『生きるからだ』の三篇からなる作品です。

 町屋さんの文体に慣れてきた感覚があります。町屋さんの作品はとても静かで混沌としているような印象です。静かで混沌って矛盾しているようで、でもそうとしか表現できない。ベクトルがはっきりしていないところが好きかもしれません。「○○でなければならない」が無い。いや、あるのだけれど、物語の背景に無い感じ。主人公は世の中の「○○でなければならない」から外れてしまった人だと思うので、そういう意味で「ある」。だけれど、物語の流れから、例えばニートはやめて働けるようにならないと駄目だよね、とか。そういうのがない。目標がない?ともまた違うか。もう少し考えてみます。

 『愛が嫌い』というタイトルにもがっつーんとやられますね。「愛が嫌い」か。