8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

アリ・スミス『春』感想

 アリ・スミス『春』を読みました。

春 (新潮クレスト・ブックス)

 

 アリ・スミスの話は読んでいてとても刺激的だ。よくわからないところがいい。わかりたいけれど、今の私はわからないのだろうという感覚。花が至る所に咲き乱れる山みたいな話を書く。私はその山をまだ登ることができない。

 『春』も結局なんだったの? 私はよくわからない。でも道中が楽しかったから、まあいいか、となる。読書はそういうものでいいのだと、私は信じている。

 あともう一つ好きポイント。アリ・スミスの「愛」の描き方、だ。一辺倒じゃない。アリ・スミスの小説は安心する。ウィットに富んだリチャードとパディの話は読んでいてとても面白かった。