8月2日の書庫

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江國香織『きらきらひかる』感想(再読)

 江國香織さんの『きらきらひかる』を再読しました。

きらきらひかる (新潮文庫)

 

 突然ですが「あ~~~~『きらきらひかる』読みて~~~~」となりましたので、今度こそは本屋さんで買ってきました。そういう衝動的な読み方、好きです。

 自分が何故「あ~~~(以下略)」となったかは不明です。嫌なことがあったわけでもないですし。ただ、最初の章「水を抱く」という言葉から、以前読んだときに流れる水のようなさっぱりさを感じたのだろうか。そうかもしれません。あとは笑子ちゃんの持つウイスキーのグラスが氷でカラカラと鳴るところも想像したのかもしれません。流れたかった。

 読みました。やっぱり面白い。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり、という説明書きの簡潔な残酷さがより二人の取り巻く環境の厳しさを体現しているような。「ホモ」という言葉は私は使わないな。今も使われるのだろうけれど、昔の使われ方と何か違うところはあるのだろうかとか、そういうことも考えていました。

 笑子はアルコール中毒者、という説明と、作中で書かれる笑子がしっくりこない。それが、私が『きらきらひかる』から受け取った一つの教訓?そういう堅苦しいのは嫌だな、発見?だと思います。つまりラベリングしたところで内実はさまざまだし、そこに人の生き方とか考え方とか、蟹でいうカニみそのような美味しい部分なのではないか?ということです。笑子ちゃんは(笑子ちゃんって呼びたい)お酒が好きで、絵のおじさんに歌を歌ってあげられる人で、紺くんのプレゼントしてくれた木には紅茶をあげてしまうような素敵な人なんですよう。文庫本の裏表紙を見ながら私はそう毒づきます。

 笑子の人生を楽しもうとする姿勢、睦月の優しさ、紺くんの悪ガキさがいつまでもお互いを支えられるように、と願いながら私は本を閉じました。

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