8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

恩田陸『黒と茶の幻想』感想

恩田陸『黒と茶の幻想』を読みました。 記録に残す限り4回ほど読んでいました(今回で5回目)、好きとか嫌いとかではなく、ただただ定期的に読む本『黒と茶の幻想』です。 繰り返し何度も読む本の醍醐味として、書かれている本の内容は変わらないのに読み手…

江國香織『落下する夕方』感想

江國香織『落下する夕方』を読みました。 梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な…

恩田陸『灰の劇場』感想(二回目)

恩田陸『灰の劇場』を再読しました。 読むのは2回目か3回目かぐらい。 大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた――。いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ご…

高浜虚子『俳句の作りよう』感想

高浜虚子の『俳句の作りよう』を読みました。 俳句についての本です。読みやすい文体で、俳句をやろうと思っている人は必読の書では? と思う内容。何が入門であるかはその領域である程度経験がないとわからないものだとは思いますので、あと10年くらい俳句…

新装版『亡命ロシア料理』感想

ピョートル・ワイリ、アレクサンドル・ゲニスの『新装版 亡命ロシア料理』を読みました。 完全にタイトルとジャケット買いです。2020年くらいに買っていたのですが積読状態でした(何故買った時期がわかるのかって、私は本を買ったときはレシートをページの…

佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』感想

佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』を読みました。 線が綺麗だなと思ったので読んでみました。恋愛漫画は普段は読まないのだけれど、たまには読んでみるかと「月一漫画プロジェクト(月に1冊漫画を読んでみる)」の一環。 いわゆるBL作品をどう…

アガサ・クリスティー『鳩のなかの猫』感想

アガサ・クリスティーの『鳩のなかの猫』を読みました。 ※ネタバレあるかも 英国でも有数のメドウバンク校にも事件の影は忍び寄っていた。新任の体育教師が何者かに射殺されたのだ。犯人は学内に潜んでいるに違いない・・・・・・そう鳩を狙う猫のように! …

白岩玄、山崎ナオコーラ『ミルクとコロナ』感想

白岩玄、山崎ナオコーラ『ミルクとコロナ』を読みました。 図書館の本棚に並べられた背表紙を眺めていたら気になったので読んでみた。 作家同期の白岩さんと山崎さんの往復エッセイ。こういう往復形式の書簡なり小説なりエッセイなりは、お互いがお互いに影…

ばったん『姉の友人』感想

ばったん『姉の友人』を読みました。 ※ネタバレ?あるかもしれないから注意してください いつぞやから気になっていて、気になったことを忘れること何回目、ようやく買って読んだ。端的に言って、描かれてる人間の線が好きだ。 決定的な瞬間が決定的に描かれ…

山崎ナオコーラ『かわいい夫』感想

山崎ナオコーラ『かわいい夫』を読みました、嘘、読んでいる途中です。(その後読み終わりました。) 私は普段このブログの記事を書くとき、構成をまったく考えていない。だから今この文章を書き始めているけれど、書く内容は無計画出発だ。今、私は『かわい…

恩田陸『蒲公英草紙 常野物語』感想

恩田陸『蒲公英草紙 常野物語』を読みました。 恩田陸の作品はかなり読んできたと自負しているけれど、この期に及んでまだ読んでいない作品があることを嬉しく思う。今回は常野物語シリーズより『蒲公英草紙 常野物語』を。 恩田作品を読んでて思うけれど、…

角田光代『口紅のとき』感想

角田光代『口紅のとき』を読みました。 使わないけれど化粧品を眺めるのは好きだ。美を彩るものだからか、化粧品のパッケージはどれも可愛い。モノとして「キュン」となる感覚がある。 口紅も同様で、ああ、私も一本や二本持ち歩けばいいのに…と思うのだけれ…

宮沢賢治『注文の多い料理店』感想

宮沢賢治『注文の多い料理店』を読みました。 思えば宮沢賢治を意識的に読んだことがないかもしれない。国語の教科書で「やまなし」は読んだと思ったけれど、私の中の宮沢賢治はそこで止まっている。最近また本が読めなくなってきたので、リハビリとして薄い…

江國香織『神様のボート』感想

江國香織の『神様のボート』を読みました。 「好きな作家は」という質問は私を恐怖させるけれど、「○○という作家の好きなところは」という質問なら意気揚々と答えてしまうかもしれない。 恩田陸と江國香織で共通している好きなところは「だらだら読める」と…

江國香織『赤い長靴』感想(2回目)

江國香織の『赤い長靴』を読みました(2回目)。 この小説はホラー小説だとつくづく思う。私にはこの小説は少々過激すぎる。読むたびに気分が悪くなり、その感覚が忘れたころ、性懲り無く読むのだろう。 読みながら「愛の名のもとになんたら」という言葉が…

イアン・マキューアン『初夜』感想

イアン・マキューアンの『初夜』を読みました。 「初夜」ってもしかしてそういうことか?どうなの?わかんない!と手に取っていざ読んだらそういうことだった。原題は、"On Chesil Beach" とのこと。個人的には、チェジル・ビーチでのやりとりが好きなので原…

アガサ・クリスティー『青列車の秘密』感想

アガサ・クリスティー『青列車の秘密』を読みました。 いや~面白かったです。クリスティー作品は少しずつ読んでいるけれど、その中でもかなり好きな部類に入る作品ではないでしょうか。個人差はありますし、この作品が「THE クリスティー作品」と呼ばれてい…

春日武彦, 穂村弘, ニコ・ニコルソン『ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと』感想

春日武彦, 穂村弘, ニコ・ニコルソン『ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと』を読みました。 医者・作家の春日さんと歌人の穂村さんの死をめぐる対談集。そして挿絵として漫画やイラストをニコルソンさんが担当している。絵が可愛い。お二方(春日、…

江國香織『がらくた』感想

江國香織の『がらくた』を読みました。 まず文庫本の表紙が最高。とっても好き。私は文庫本の表紙を気にしたことがないのだけれど(それもどうかと思うが…だってせっかくデザインをした人がいるのだから)この『がらくた』に関しては表紙にまず目を奪われた…

荻原規子『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』感想

荻原規子『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』を読みました。 ううむ。面白かった。ちゃんと面白かったのに今まで読んでいなかったのは一体なぜなのだろう。「すべてを読んだ」なんて大言壮語するつもりはないが(有名なファンタジーを網羅してるとも言い…

陳浩基『ディオゲネス変奏曲』感想

陳浩基『ディオゲネス変奏曲』を読みました。 まず言っていいか(もしかしたら他のところで言っているかもしれんが)。 早川書房の細長いタイプの本が私は好きだ!!! 本当に好きだよ~~~このサイズ感が憎すぎる。奥付のところの記載によれば この本の型…

長谷部千彩『私が好きなあなたの匂い』感想

長谷部千彩『私が好きなあなたの匂い』を読みました。 長谷部さんの『メモランダム』の雰囲気が好きで、手に取った二冊目の本です。雑誌に連載されていた短い物語がたくさん集まった本です。そういう性質上、細かく何日もかけて読むのがいいのではないかと思…

C・S・ルイス『魔術師のおい ナルニア国物語 1』感想

C・S・ルイスの『魔術師のおい ナルニア国物語 1』を読みました。 ナルニア国物語は『ライオンと魔女』で挫折している人間です。名作ファンタジーであるのは聞き及んでいるのに、なんで面白く感じられないのだろう(それは私の欠陥なのだろうか)と思うぐら…

『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ』感想

『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ』を読みました。 ああ、なるほど。この手があったか。私にもできるかしら? 試しにやってみようか?(p.14) 書店で見かけて気になっていた本でした。まずタイトルが素晴らしいなと…

最果タヒ『恋人たちはせーので光る』

最果タヒ『恋人たちはせーので光る』を読みました。 詩の読み方がわからない。 詩 ①(文学の一形態として)自然・人情の美しさ、人生の哀歓などを語りかけるように、また社会への憤りを訴えるべく、あるいはまた、幻想の世界を具現するかのように、選び抜か…

クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』

クラフト・エヴィング商會の『おかしな本棚』を読みました。 本を読む。それは個人的なこと。誰かが本を読む。それは怖いこと。 そんな言葉が思い浮かんだ。 WISDOM 知恵授けるTeach1見境いない善悪のBig Bangつまりそれは小さな教室から無限広がる叡智の羅…

アガサ・クリスティー『雲をつかむ死』感想

アガサ・クリスティーの『雲をつかむ死』を読みました。 クリスティーは面白くない作品があまり無いなあ、、、と読んでいて本当に思います。 この『雲をつかむ死』も然りで、ミステリーとして先が気になるという面白さもさることながら、人物描写が見事で。…

江國香織『ウエハースの椅子』感想

江國香織『ウエハースの椅子』を読みました。 冒頭で私はこの本のことを好きになった。 かつて、私は子供で、子供というものがおそらくみんなそうであるように、絶望していた。絶望は永遠の状態として、ただそこにあった。そもそものはじめから。 江國香織『…

江國香織『はだかんぼうたち』感想

江國香織『はだかんぼうたち』を読みました。 (私は単行本の方を読みましたが、文庫の表紙かわええ…。) さておき、読みました。着々と江國作品を読んでいっております。 『はだかんぼうたち』は比較的狭いコミュニティの人間関係がかなり複雑で、唐突に登…

アガサ・クリスティー『スリーピング・マーダー』感想

アガサ・クリスティーの『スリーピング・マーダー』を読みました。 ※ネタバレありです 最初に言っておきたいのですが、新婚グエンダの旦那さんが犯人じゃなくて良かった!本当に良かった!最悪、それだけ言えればいいです!でも感想を続けます。 やっぱり犯…