8月2日の書庫

本の感想を書くブログです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

江國香織『いくつもの週末』感想

江國香織さんの『いくつもの週末』を読みました。 いくつもの週末 (集英社文庫) 作者:江國 香織 発売日: 2001/05/18 メディア: 文庫 読みながら何もわかっていない私はこれを小説だと思っていたのですが、実はエッセイでした。江國さんの結婚生活をめぐるエ…

平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』感想

平庫ワカさんの『マイ・ブロークン・マリコ』を読みました。 マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS) 作者:平庫 ワカ 発売日: 2020/01/08 メディア: Kindle版 すげー漫画だった。 読み終わって頭の中でガンガン鳴っているのは「疾走感」とい…

人間は不完全だから愛おしい/近藤聡乃『A子さんの恋人 1巻』

近藤聡乃さんの『A子さんの恋人 1巻』を読みました。 A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX) 作者:近藤 聡乃 発売日: 2018/09/15 メディア: Kindle版 ええと…読んだきっかけはこれです。青山ブックセンターが好きなので。そして私は漫画を買うのが苦手。先にこの…

アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』

アガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』を読みました。 オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者:アガサ クリスティー 発売日: 2003/10/01 メディア: 文庫 これもまた、三谷幸喜のドラマを先に見てしまっているので結末は知って…

想田和弘『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』

想田和弘さんの『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』を読みました。 なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書) 作者:想田 和弘 発売日: 2011/07/15 メディア: 新書 これは学生時代に読んだと記憶しているのだけど、改めて読み直したくなった…

アガサ・クリスティー『アクロイド殺し』感想

アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』を読みました。 アクロイド殺し (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,羽田 詩津子 発売日: 2012/08/01 メディア: Kindle版 2020年下半期はクリスティーを読んでいくことになりそうです。だって面白いんで…

文章と写真と/長谷川千彩『メモランダム』

長谷川千彩さんの『メモランダム』を読みました。 メモランダム 作者:長谷部 千彩 発売日: 2016/09/21 メディア: 単行本 とある書店の本棚を5周くらいして「ああ、今日は出会えなかった、無理だわ。もう帰る」と帰りかけたところ、名残惜しくてやっぱりもう…

江國香織『いつか記憶からこぼれおちるとしても』

江國香織さんの『いつか記憶からこぼれおちるとしても』を読みました。 いつか記憶からこぼれおちるとしても (朝日文庫) 作者:江國 香織 発売日: 2005/11/01 メディア: 文庫 ん~~~~。いい。タイトルが秀逸すぎる。江國作品のタイトルが私は好きです。「…

人の本性/アガサ・クリスティー『死が最後にやってくる』

アガサ・クリスティー『死が最後にやってくる』を読みました。 死が最後にやってくる (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2004/04/16 メディア: 文庫 思えばクリスティーの小説をきちんと読んだのはこれが初めてかもしれな…

あなたはひた走る/柴崎友香『寝ても覚めても』

柴崎友香さんの『寝ても覚めても』を読みました。 寝ても覚めても 増補新版 (河出文庫) 作者:柴崎友香 発売日: 2018/07/20 メディア: Kindle版 こうあってほしい、といういわば押しつけのような、祈りなのか願いなのかが他人に届くことは無いのだということ…

あなたの大事なものはなんですか/横山光昭『貯められる人は、超シンプル』

横山光昭さんの『貯められる人は、超シンプル』をささっと読みました。 貯められる人は、超シンプル 作者:横山 光昭 発売日: 2016/05/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) お金を貯めるにはこういうことをすればいいですよ(例えば家計簿をつける、とか)と…

一緒に耳を澄ます同志/江國香織『雨はコーラがのめない』

江國香織さんの『雨はコーラがのめない』を読みました。 雨はコーラがのめない (新潮文庫) 作者:香織, 江國 発売日: 2007/06/28 メディア: 文庫 アメリカンコッカスパニエルの雨と、その雨と一緒に聴く音楽をめぐる文章です。めちゃめちゃいい。痺れる。 埃…

これは悲劇であり呪いなのだろうか/恩田陸『ライオンハート』

恩田陸さんの『ライオンハート』を読みました。 ライオンハート (新潮文庫) 作者:陸, 恩田 発売日: 2004/01/28 メディア: 文庫 久々の未読の恩田陸作品…。こう読んでいると安心する文体…(それが自分にとっては良いか悪いかは別として)。 面白かったなぁ…。…

「わからない」の発掘作業/穂村弘『君がいない 夜のごはん』

穂村弘さんの『君がいない 夜のごはん』を再読しました。 dorian91.hateblo.jp 読み直しなのは自覚していたけど感想もちゃんと書いているとは思わなかった。といっても、内容の大部分は忘れているので楽しめるのですが。 エッセイを読むテンションというのは…

人にウィスキーを買わせる本/村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

村上春樹さんの『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を読みました。 この本をそもそも読んだきっかけというものがあって、その元を辿れば「酒に対する興味関心が芽生えてきた」ってのがあるのだけれど、この本はその興味関心に決定打を打ってきたよ…

「好き」の入り口はそれぞれ/マキヒロチ『スケッチー ②』感想

マキヒロチさんの『スケッチー ②』を読みました。 一巻に引き続き二巻目も読んでいます。あまり漫画は読まないけれど、これからは少しずつ読んでいきたいなと思っているところです。 今回印象的だったのは「好きの入り口」と「男女差」のところ。 好きの入り…

サン=テグジュペリ『星の王子さま』感想

サン=テグジュペリの『星の王子さま』を読みました。 今の今まで読んだことがなかったのですが、そのタイトルが知られ渡っている本なので読んでみることにしました。まえがきにあるように、大人向けにつくられているのだとしたら、もう子どもではない私だっ…

近内悠太『世界は贈与でできている ―資本主義の「すきま」を埋める倫理学―』

近内悠太さんの『世界は贈与でできている ―資本主義の「すきま」を埋める倫理学―』を読みました。 結構読むのに時間がかかって、というのも途中まで読んだものを最初に戻って一気に読み直しました。読むこと自体はさほど時間はかからないと思います。読みや…

千葉雅也『デッドライン』感想

千葉雅也さんの『デッドライン』を読みました。 千葉さんの著作は『勉強の哲学』『アメリカ紀行』以来3冊目です。 『アメリカ紀行』は自分の中でもかなり好きな本で、断片的に並べられた思考の泡が浮かんでは破裂していく感覚、章が短い構成などは自分が書き…

小野不由美『白銀の墟 玄の月(一)』感想

小野不由美先生の『白銀の墟 玄の月(一)』を再読しました。 今から何年前でしょう、7,8年前になるのでしょうか、十二国記シリーズの存在を知ったのは。そこから少しずつ読み始めて読み返し、リアルタイムで新刊を手に取れるのはなんと初めて!!!嬉しい!…

能町みね子『結婚の奴』感想

能町みね子さんの『結婚の奴』を読みました。 1月ぐらいに読んではいたのですが、今回もう一度読み直しました。 性愛でつながらない結婚に至るまでの道のりを描いています。すごく面白かったです。かなりおおっぴろげに書かれている印象でハラハラどきどきし…

マキヒロチ『スケッチー ①』感想

マキヒロチさんの『スケッチー』の第一巻を読みました。 スケッチー(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:マキヒロチ 発売日: 2019/12/20 メディア: Kindle版 これは読んでその日に書いている文章なのですが、その前日に私は『スケッチー』という漫画を知…

國分功一郎『哲学の先生と人生の話をしよう』感想

國分功一郎先生の『哲学の先生と人生の話をしよう』を読みました。 哲学の先生と人生の話をしよう (朝日文庫) 作者:國分功一郎 発売日: 2020/04/07 メディア: 文庫 これは私がよく読んでいるブログの方が紹介されていたのですが、そういう本の出会いもありま…

恩田陸『まひるの月を追いかけて』感想

恩田陸さんの『まひるの月を追いかけて』を読みました。 まひるの月を追いかけて (文春文庫) 作者:恩田 陸 発売日: 2007/05/10 メディア: 文庫 『夜のピクニック』『黒と茶の幻想』『三月は深き紅の淵を』のような旅もの。奈良ときましたか。この小説を読ん…

小野不由美『華胥の幽夢』感想

小野不由美先生の『華胥の幽夢』を読みました。 華胥の幽夢 (かしょのゆめ) 十二国記 7 (新潮文庫) 作者:小野 不由美 発売日: 2013/12/24 メディア: 文庫 読み直しです。やっぱりいいもんだ…。短編集なのにどれも読みごたえ抜群であり、本編の世界への入り口…

夏目漱石『こころ』感想

夏目漱石の『こころ』を読みました。 こころ (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 メディア: 文庫 私は本をほどほどに読む人間だけれど、いわゆる近代文学はほとんど読んでこなかった人間です。このことは微妙にコンプレックスであり、ではそこに何があるのだろう?…

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』感想

村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』を読みました。 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) 作者:村上 春樹 発売日: 2010/06/10 メディア: ペーパーバック 村上春樹の小説はあまり読まないのに、村上春樹のエッセイは好…

多崎礼『〈本の姫〉は謳う 2』感想

多崎礼さんの『〈本の姫〉は謳う 2』を読みました。 〈本の姫〉は謳う2 (C★NOVELSファンタジア) 作者:多崎礼 発売日: 2012/12/19 メディア: Kindle版 は~~~~~~~。マジで面白(感想が雑)。 超読書家なわけではないけれど、本を読んでいるとその手の…

江國香織『思いわずらうことなく愉しく生きよ』感想

江國香織さんの『思いわずらうことなく愉しく生きよ』を読みました。 思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫) 作者:江國 香織 発売日: 2007/06/01 メディア: 文庫 あっという間に読んでしまいました。タイトル「思いわずらうことなく愉しく生きよ」…

多崎礼『〈本の姫〉は謳う 1』感想

多崎礼さんの『〈本の姫〉は謳う 1』を読みました。 〈本の姫〉は謳う1 (C★NOVELSファンタジア) 作者:多崎礼 発売日: 2012/12/19 メディア: Kindle版 いや~~~~~面白かった!!!多崎さんの話はこれで3冊目ですが、一番楽しんで読めたのではないか。し…